2014年06月10日

300B PPアンプを作る(第2回)

 今日は電源部分の設計もやりました。
その前に、きのう設計した分の300Bのロードラインの引き方が間違っていたので修正しました。

300B_Roadline_2.jpg

 回路的にはそのままでOKなんですが、カソード抵抗1.2k、負荷5kPP,+B400v付近だと、グリッド−20v付近で片側の球がカットオフしますのでAB級動作という事になります。

 電源の設計ですが、これも全く凝らない方針です。電源トランスはノグチトランスのPMC170というもので、このクラスにしては安いです。B電源用巻線が350v−0−350vで、5AR4とチョークを通したあとで400vぐらいは出るかな?と見当をつけて、その辺で設計を進めます。
5AR4data.jpg

 5AR4の規格表だと、AC350v入力なら420vぐらいは出そうですが、それにトランスの巻線とチョークコイルの抵抗分が加わるので、実際は400v付近でしょう。その辺は今のところは適当にしておいても大丈夫です。そこからあとの設計は例によってオームの法則と電卓で全部出来ます。トランスの電流容量が余っているので初段の安定化のためにブリーダー電流を5mAだけ流しておく事にしました。ノグチのトランスは加熱が比較的激しいので容量めいいっぱいに使わないようにしました。

300BPP_SCHEMATIC.jpg

 とりあえず一通りの設計が完了です。これでまず1台仮組してみて、不具合な所を手直ししていきます。
DJミキサーの方は、使った12AX7をギターアンプでさんざんいじり倒してきたおかげで良く知っているので、こんなまじめに設計はやらずに、
見当で組んで音を聴いて、ばらして組み直してまた音を聴いて、、という感じで作ったんですが。
パワーアンプは一応壊れないような設計をしておかないと、見当でやってパーツが焼けてしまったら損害が大きいので、最低限これくらいの設計はしないと使うの怖いです。
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2014年06月09日

300B PPアンプを作る(第1回)

 僕の部屋で長らく使っていたパワーアンプ、作ってから15年ほども使ってたんですが、先日友達のJAZZ DJのあべちゃんのたっての希望で譲ってしまったので、今うちの部屋のアンプがまともなのがないんです。
 それで、新しいアンプを作ろうと。手持ちのタンゴの出力トランス(FW50−5)を使って300Bのプッシュプルアンプを作ります。


KC4B1321.JPG


 とりあえず電源トランスとチョークトランスを買いそろえて、シャーシを鉄工所で曲げてもらった所で、回路はどうしようかとあれこれ考えていたんですが、とにかく手持ちの球でまずたたき台としてオーソドックスなのを鳴らしてみようという事で今日は回路設計をしました。

 20代の頃に、当時出回り始めた中国製の300Bでいろいろやってた頃の球が今も残っているので、その中から6SN7と6SJ7を各1本づつ使って,なんとか300Bをドライブするアンプを組もうという感じです。
 最初は、キャノン送り出し用のバランスラインドライバーICのSSM2142で位相反転して、2段目を6V6で300Bを振って、半導体風味も加えてやればロックもタイトに聴けるか?とか考えていたんですが。でもそういう冒険は次回の後回しにして、とりあえずオーソドックスに鳴らしてみようという事で設計してまいました。
 6SN7と6SJ7を使ってどうやってラインレベルの1vぐらいの音声信号を300Bが必要とする約120vまで増幅するか?ってことなんですが、いわゆる”ムラード型”とよばれている回路の設計に初挑戦しました。プッシュプルアンプはアルテックアンプのPK分割や、PG帰還の反転ゼロゲインアンプで位相反転する”オートバランス型”の回路は作った事があったんですが。
 ”ムラード型”というのは名前の由来は知らないんですが、初段増幅に直結で差動アンプの位相反転をつなげた回路で、真空管アンプの製作例ではごくオーソドックスな回路形式です。

 まずは300Bの出力段からかかります。

300b_roadline.jpg

 300Bの規格表からA級プッシュプルの動作例を元に、特性図の上で動作線(ロードライン)を引いてみます。この線から各部分の電圧電流がきまり、回路の中の抵抗値を大まかに割り出す事ができます。購入したトランスが350v−0−350vのもので、整流管は5AR4でいこうと思ってるので、だいたい400v前後は出そうだという事で、電源供給が400v、バイアスが自己バイアスの70vでそれを差し引いて330vと見当をつけてロードラインを引きます。バイアスの−70vはウエスタンエレクトリックの規格表のA級PPの動作例から見当をつけました。
ロードラインが引けたらあとは、オームの法則と電卓で各部分の抵抗の値を算出できます。コンデンサーの値は、とりあえず可聴帯域を切らないように見当で決めます。

300Bout_schem.jpg

 だいたいこんな感じです。こんな事をやったのは前世紀以来です。でも今はネットとコンピューターがあるんで随分と楽です。以前は規格表からコピーで拡大して手書きでやってました。

 次は”ムラード型”回路の設計です。回路の形はもう昔から決まっているのでその通りとして、そこへ6SJ7と6SN7を当てはめて、各部分の部品の値を決める作業です。初段を5極管6SJ7の3結、2段目の位相反転が6SN7です。
初段と2段目が直結でコンデンサーがないので、初段の6SJ7のプレート電位が2段目のカソード電位よりも2段目のバイアス分低くなるようにして、直結でも2段目のバイアスが適正になるようにします。

 300Bdrive_schem.jpg

結果はこんな感じ、実際はいろいろとずれが生じるので,この通りびしっと動くわけではないですが、あとは実機を組んでから調整します。
 回路設計の本とにらめっこしながら、この回路定数を導きだすために引いた6SJ7、6SN7のロードラインです。

6SN7_roadline.jpg

6SJ7_schem.jpg

次はこの回路に所定の電圧を送り込むための電源の設計です。
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2014年05月16日

TUBE DJ MIX No.7~11(2)

 製作は毎晩すこしづつ進みます。
電源部分を先に完成させて、半導体回路の基板をのせて通電して動作チェックをします。きれいに増幅出来てるか?と、おおよそのゲインをオシロスコープでチェックしながら、部品の取り付け間違いやはんだのうまくない所を直していきます。

KC4B1220.jpg

 今にいたっても回路図はないのですが、書けと言われれば書けますが。
設計は、いつもイラストレーターで基板のパターン図や結線図を書きながらやります。

KC4B1227.jpg

テスト中にコンデンサーが破裂!
爆竹よりも強力で、耳がつぶれたかと思いました。本体はどこかへ飛んでいって見つかりません。プラスとマイナスを逆につけていたのが原因です。電源電圧が+ー18vと高い目なので爆発も心無しか強力です。

KC4B1228.jpg

動作テストがOKなら電線の配線にかかります。これがまためんどくさい。何しろステレオプリアンプ2台分とヘッドフォンアンプですから。
 これだけの規模でハムノイズ無しで小さく組むのは結構難しいんです。10年ほど前に4Chの真空管ミキサーに挑戦したときは、ノイズが多くて使えませんでした。
 とりあえず電源とアースの配線が肝です。ミキサーでは真空管ステレオアンプでは基本の常套手段のアース母線式配線は通用しません。

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KC4B1230.jpg

そろそろ夜遊びもしたいなあ。

<つづく>

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2014年05月07日

TUBE DJ MIX No.7~11

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 真空管DJミキサー7号機から11号機の5台を製作中です。
実は3月初めからだらだらとやってたんですが、4月に入って本格的に組み立てを始めました。

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 今回は既製品のケースではなく、板金屋で鉄板を曲げてもらってケースから作りました。6号機までの既製品の3Uラックケースは安くて見た目も良かったんですが、下面が開けられない構造だったので下面側に大きなメンテ口を作らなければならず、結構作るのに苦労したので、今度のは後々の修理のやりやすさを考えて1から設計してみました。

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 ゲイン&トーンコントロールの真空管の部分だけはハトメ基板と空中配線で組み、その他のミックスアンプ、出力アンプ、ヘッドフォンアンプの部分は基板+半導体アンプです。真空管が12AX7で、かなり回路インピーダンスが高いので、プリント基板は使わない方が無難です。
 ボリュームポットも必然的に高抵抗の物になってしまうので、回転音が微妙に音に出てしまったり、ガリが出やすいのも難点です。

KC4B1178.jpg


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 12AX7は回路インピーダンスが高いと書きましたが、この球はそのせいで今風の帯域の広い(高忠実な?)音は出てこないんですが、ギターアンプによく使われてるだけあって、普通にシングルNFB無しで組むとほんとにギターアンプみたいな音がします。ミドルは鮮明で生々しくて、高音はとろいぼやけた感じになります。スーパーツイーターなんかつけても鳴らないんじゃないか?ってぐらいな真ん中よりの音になります。
 でも、うまくやれば半導体では絶対出てこない分厚くて明るい音を出してくれます。説明するとしたらとびきり音のいいSP盤みたいな感じですかね。お客さんは『なにこの音?』って驚いて帰る人もいます。

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 12AX7の手持ちはこれだけの種類がありました。

音の差は?ときかれると、『う〜ん、その部分は考えない方がいいな』って感じです。
例えば、松下の12AX7は、ジャンク屋で買ったやつやらギターアンプのポンコツから抜いたのやら古ばかり10本ほど持ってるんですが、そのへこたれ具合での音の差は大きいです。見た目に同じ物でも、片耳がつまってるのか?って思うぐらいに左右で差が出たりします。
 新品の場合、例えばソブテック製とJJ製を片側づつに使っても、Gmに大差がなければ全然支障ありません。
アンプの回路にNFBがかかっている場合はなおさらです。
今欧米の古いデッドストックが高値で取引されていますが、新品でない限り高値で買う価値はないと思います。
しかもOEM生産が多いので、GEや松下製のRCAなんて沢山ありますし、アメリカのメーカーでも1960年代後半からはもうほとんどは東欧やソ連で作ってたんですよね。テレフンケンが良いっていわれてるけど、シーメンスとテレフンケンは生産している会社も物自体もたいていは同じですし。
 25年ほど前、90年代初頭ですが、シーメンスのECC83(12AX7の欧州型番)は安くて1本1500円ぐらい、テレフンケンは4000円ぐらいしたと思うんですが、印刷以外は同じだったです。
 しかも最近は新品と中古品の見分けができないと騙されるようですし。

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 この4日間で、半導体部分の基板とを完成させてやっと真空管の部分を組み始めました。

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2014年05月04日

プリアンプを作り直した!

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 自分用のステレオのプリアンプを作りました。矢型のツマミは好きじゃないんですが、以前にネット通販で20と200を打ち間違えたせいで沢山持っているので、使える所には使います。
 先代のプリアンプは、もう17年も前に自作したのをずっと使ってたんですが、最近作っている真空管DJミキサーにに比べて全然音が良くないので、壊して使える部品を再利用して、作り直しました。
 先代のアンプは、雑誌か何かにに載っていた”音が良い”凝った回路で、6DJ8のSRPPの負帰還回路にロータリースイッチの接点切り替え式のNFB型トーンを入れた回路になっていたんですが、それより遥かにシンプルな12AX7のPG帰還でCR型トーン回路をドライブする回路の音に全然音の覇気でかなっていなかったんです。
 12AX7のようなハイゲインな三極管は特に”ミラー効果”といわれる、真空管自身の内部抵抗と電極間容量がハイカットフィルターを構成してしまうという現象があるので、超高域はこのアンプでは望めません。
SRPP回路で組むとミラー効果によるハイ落ちは無くなって上から下までしっかり鳴るのですが、楽器アンプ的な音の図太さが無くなって、ミドルの生々しさとぞくっとするような低音のウッドベースの響きが今ひとつになってしまう感じがします。音癖のない無難さは断然SRPPです。

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 先代のアンプは、アースと電源の配線が『とりあえず回路図通りにつながっていればいいだろう』的な無頓着な感じで、電流で考えたアースと電源回路の信号電流の整理ができてなかったのと、互いに近づけてはいけない部分が近かったり、束ねてはいけない線同士が束ねてあったり。
真空管は全体的にハイインピーダンス、高圧回路なので、アースの中の電流の流れの整理や、空中に飛び出す分の信号の整理も必要なんです。
真空管も長いことやってきて、ようやくビギナーから脱することができたかな?って感じです。

KC4B1189.jpg

 回路はDJミキサーと同じ物の片チャンネル分で、部屋で聴く最大音量ですべてのボリュームが全開にできるように、ゲインを少なめにして、不必要な増幅とアッテネートを避けるようにしています。これでボリュームポットの音の善し悪しからかなり逃れられますし、不必要な増幅減衰での音の劣化も少なくなります。
 ごちゃごちゃした配線なんですが、真空管を挟んで奥が信号系、手前が電源供給系とプレート負荷抵抗になっていて、互いの距離を取ります。シールド線は最低限にしてできるだけ使いません。

KC4B1191.jpg

 メーカー製のアンプは、壊れにくいようにきちっと束ねるためにシールド線が使ってあったりするんですが、シールド線は構造上コンデンサーであることは避けられないので、どうしても高インピーダンス回路ではハイ落ちします。ノイズに弱い敏感な部分はむやみにシールド線は使わずに束ねず、堅い単芯線で空中に這わせておきます。フェンダーアンプの古い物もそうやってあります。
 青いコンデンサーは再利用のレーダーシュタイン1845ドイツ製。今は貴重品として高値で売られていますが、20年ほど前は高音質オーディオ用の中では一番安かったです。当時オレンジドロップよりも安かったと思います。

KC4B1190.jpg

 電源トランスはタンゴST30 タンゴも倒産してしまいましたが、当時は貧乏人にはこれしか選択肢はありませんでした。フォノEQはオペアンプによるUREI1620をアレンジしたような回路で、電源はトランスから別電源になっています。捨てる日本製マランツのカセットデッキから外した物で、電圧が手頃なのとシールド機構が万全なので当番となりました。
 VUメータも、昔使ってた4トラカセットMTRから外したやつで、まあお飾りですが、これの駆動回路は新たに設計しました。といってもオペアンプの教科書にあるゲインアンプと絶対値回路を組み合わせただけの簡易なものです。

 音はDJミキサーと近い感じで、いい音なのかどうなのかは未だに?なのですが、僕が求めてる雰囲気の音です。70年代以前のナローな音源をすごく生々しく鳴らします。ネットラジオとかみたいな聴くに耐えない雑な音がするデジタルも、カドを取ってBGMとして聴いてられる音にしてくれます。ちょっと部屋でレコードかけるのが楽しくなりそうです。

posted by dico at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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