2014年07月30日

UREI1620の修理4台目(第1回)

KC4B1477.JPG

 新たにUREI1620の面倒を見る事になりました。今回は音楽仲間のギタリストMarronちゃんの仲介で、山口県からの依頼です。

 KC4B1478.JPG

 『フォノ2のチャンネルからハムが出ることと、マイクチャンネルが鳴らない』との事だったんですが、うちに到着してから鳴らしてみると、いろいろと不具合がありました。
 チャンネル2からハムが出るのは、チャンネル2の入力端子がもげて取れかけていたためなのですが、それ以外にも全チャンネルから微かにハムノイズがでています。おそらく電源回路の劣化です。入力端子はほとんど全部がハの字にこじ広げられていてダメです。全部交換です。
 あとはトーンコントロールのベース側の効き方が左右で全然違います。これはTC回路のコンデンサーを調べて、劣化が無かったらオペアンプが疑われます。
 マイクは、マイクアンプカードが1枚だけ刺さっているのですが、マイク入力のコネクターは2個取り付けられていて、片方の配線がありません。”マイクが鳴らない”のはこの事だと思われます。
 その他にもいろいろと修理がされているんですが修理部分のハンダ付けが素人レベルのへたくそです。これは今まで修理して来たUREI3台ともです。まあ繋がってさえいれば支障はないのですが、ハンダ付けが下手では長持ちは期待出来ません。

KC4B1473.JPG

 雑な修理歴があるので、基板のパターンが壊れていないか点検します。ハンダ付けもすべて溶かし直しをしてはんだを盛り直します。30年以上前の古い機材なので、ハンダ付けの劣化やさび、クラックは見えなくてもあるはずなので、これらを退治します。

KC4B1476.JPG

電源部分は、パーツを全交換します。ダイオードは電源トランスをはずさないと交換出来ないので厄介です。コンデンサーは470uFから2200uFに、5倍の容量にアップします。この変更で音が悪くなる事は無いと思いますし、120v用の機材を100vで使う場合の不具合(3端子レギュレーターへの電圧マージンの不足)を少しだけ解消出来るはずです。

KC4B1474.JPG

 あとは、マイクアンプ、トーンコントロールの点検修理、各部の劣化電解コンデンサーを交換して、入出力端子を交換して完成です。
 
posted by dico at 02:22| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月19日

300B PPアンプを作る(最終回)

 300Bppアンプ、ようやく完成しました。

KC4B1443.jpg

 前回よりの修正点は、先日仮組みして試聴している時に、入力のボリュームを最大にした時にすっと音がきれいになったような(気がした?)ので、入力の安物のボリュームを排してスイッチ式のアッテネーターに変更しました。
 あとは、アースとB電源の配線取り回しをいろいろといじってハムノイズの追い込みをやりました。結果、残留のノイズはNFB無しで0.5mV、NFBをかけて0.3mVまで減らす事ができ、十分低雑音なアンプにする事が出来ました。無信号時はスピーカーに耳を近づけてみても全く無音です。
NFBのON/OFFができるスイッチも取り付けました。

KC4B1449.jpg

 前回、といってももう20年近く前になるんですが、300Bシングルのアンプを作って数年鳴らしていた事があります。当時出回り始めた中国製の茶色ベースの300Bで、それでもすごく音が良かったんですが、フィラメントが切れてしまったんで使うのをやめたまんま解体してしまいました。最初は6SJ7→300B→タンゴU808で組んでいい音を出す事が出来ずに、その次は6SN7直結2段→300B、最後は6SN7→6L6GC→300Bで落ち着いたんですが。
でも当時は結局ハムノイズを聞こえないレベルまで消す事が出来ずに、遠くで微かにジージー鳴りっぱなしなのを我慢して聴いていました。直熱管はこんなもんなんかもな?と諦めてたんですが。
当時の僕の配線はアース母線で、電源回路はデカップリング回路まで全部電源トランスの近くに小さくまとめてありました。今から考えると素人仕事、ハムが出て当然です。

300bschematic.jpg

 最終の回路はこんな感じになりました。50年60年前からオーディオ好きはこの音を聴いていた、そういう全く古典的でシンプルな”普通の回路”です。300Bの方はもっと古く、80年も前に映画館のPAアンプ用に設計されたものです。
音は、先代の6L6GCのAB級プッシュプルの音と比べると、スピーカーの前で音を遮っている膜を1枚剥がしたような鮮明でクリアな音です。同じレコードでも今までは聞こえてこなかった音に気づいたりもします。6L6のように歪みで問答無用にリッチ感を足してくる感じはありません。こんなに高音まで締まった音が出るアンプを真空管で作れたのは初めてかも知れません。低音はあまり押しが強くない感じですがタイトで、ブヨつく感じは無くて、20cmのスピーカーでもベースのさらに下の方の地響きのような所まで鳴らすので、大音量だと家が鳴って隣の部屋がちょっと迷惑する感じです。NFBはあっても無くてもさほど音は変わらないんですが、切った方が微妙に音場の前後幅が広がる気がします。

KC4B1451.jpg

 手元に、ちょうど故障修理依頼でうちに来ている6L6シングルアンプ(エレキットTU897)があるので音を聴き比べてみました。エレキット6L6もかなりいい音がするんですが、低音の地響き部分は無くて、中音から上がぎらっとリッチで派手な感じです。でもそれにかき消されて音どうしの隙間が埋まって細かい所が見えないような感じです。
 目をつぶったときの”生っぽさ”では断然300Bです。でもニュートラルにレコードの空気感をそのまま出してくる感じがするので、『これこんなに音良くなかったっけ?』って思うレコードもあります。リマスター盤のあとで足したリバーブがすごく邪魔に聞こえたりとか。

 とりあえずこのアンプはひとまず完成、このまましばらくこれで音楽聴きます。作りたてのアンプなんで音が定まり所に落ち着いてくるまでは数ヶ月はかかるでしょうし。
posted by dico at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月13日

300B PPアンプを作る(第6回)

 2台目も配線を仕上げて、テスターでチェックだけしてステレオでしばらく聴いてたんですが、2台目の方の鳴り方が少しおかしい。低音が今ひとつ出てないんで低音がえらく片側に寄っていて少し気持ちが悪い感じの鳴り方をします。
 どこか間違えてるかな?それとも古いタンゴFW50がやっぱり短絡していてダメなのかも?
ということで2台目はもうめんどくさいんでやらなかった測定をしたんですが、パワーも出てるし周波数帯域もしっかりしている。トランスもしっかり生きているし、別段性能は1台目と変わらないはずなんですが。それでも出音は聴いてて分かるぐらいに違うんですね。
 あとの可能性は、真空管やら他の部品やらが新品なのでまだあたりが出ていないってことぐらいです。FW50もおそらく40年ぶりぐらいの通電でしょうし。
1台目の方は、回路変更やら測定やらで1週間ぐらいは既に稼働しているけど、2台目はさくっと配線して球は新品のまま鳴らしてますから。

KC4B1425.JPG

 という事で、新品球のエージングをしました。といってもやり方は分からないので適当です。
最初10w出力ぐらいで1時間、それで十分温もったら、少しクリップするぐらいまで上げて3時間フルパワーのままにしておきました。安全試験もかねて、、。なぜ3時間かって言うと、1台目が測定と発熱の様子見でそれぐらいフルパワー出したかな?って感じだったからです。フルパワーにすると300Bはグロー放電で真っ青になります。

 どうやら読みは当っていたようで、鳴り方の差は分からないぐらいになりました。箱から出してすぐのまっさらな真空管と、すでに数日稼働して、数時間はフルパワーを出しているものとの音の差だったようです。

 
posted by dico at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器制作関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

300B PPアンプを作る(第5回)

KC4B1415.JPG

 300Bppアンプの5回目です。一応2台とも出来上がって、稼働を始めました。
ロシア製のコピーモデルとはいえ、さすがは直熱三極管っていう音を出してくれています。聞き慣れたレコードでも、長く部屋で鳴らしていた6L6GCppのアンプでは聞こえなかったような音が聞こえてくれます。
『アンプはひとまずここが到達点で十分、これ以上”音質”に深入りする必要はないな』って感じです。どっちにしろこれに飽きても僕のサイフではこれ以上は望めませんから。
 7〜8年前に、友達の廃品回収をやってるD君が突然、『ゴミで真空管アンプがあるんやけど、要らん?』って電話くれて、アマチュアが作った自作のアンプの廃品をもらったんですが、それについていたタンゴのFW50がやっと音を出してくれました。”6L6GC,A級アンプ、1976年製作”と作者のサインがアンプの中にありました。
 その廃品は、回路を間違ったのかバイアスが明らかに浅すぎるのと(6L6に400vかけて,SGを下げずにバイアスは−30vぐらいしかかけれない設計だった。6L6PPはA級固定バイアスなら300vぐらいが限界。5k負荷で+B、SGとも400vならバイアスは−45vぐらいかな?)それとひどい配線とでとても通電するのは恐ろしいような6L6ppのA級アンプだったんですが。
 刺さっていた東芝の6L6は焼け死んでいました。1ヶ月ぐらいは音が出たかもしれませんが。でも設計不良もFW50を焼き切るほどではなかったようです。その1976年にしっかり鳴らしてもらえなかった不遇なタンゴトランスが2014年になってやっと、うちで音楽を鳴らしてくれます。

KC4B1416.JPG

 1台目の製作中に、手持ちのソ連製6SJ7が、これは1993年頃に大阪日本橋で300円ほどで買った中古なんですが、20年ぶりの通電だったせいか自然死してしまったので急遽6SJ7を通販で買いました。運良く1本2000円でRCA製のメタル管が入手出来ました。昔のものでも楽器アンプに使えない球は今でもそんなに高くないですね。

KC4B1408.JPG

 出力管のヒーターを途中で直流点火に変更したんですが、結局交流点火で十分でした。残留雑音0.6mvは初段由来のようで、直流点火の意味はありませんでした。しかもメタル管の6SJ7に差し替えると0.5mvまで下がってくれました。スピーカー(EV PRO8A,能率97db)でもノイズは聞こえない感じです。中の配線はもじゃもじゃで見た目汚いですが。
 あとは、電源トランスのノグチPMC170が、スペック上は170mA取れるはずなんですが、140mAで既に苦しいようで、加熱が激しいので+Bを350vタップから320タップに下げました。

 300Bの動作条件は、+B396v、自己バイアス、カソード抵抗1200Ω、バイアス−67vという感じになりました。購入したエレハモ300Bの4ペアは、WE300Bのデータシートに比べて若干電流が流れにくいようです。パワーは出ないですが多分長持ちしてくれるはずです。電源電圧が変わったので、初段、位相反転段への電源周りの回路も少しいじりました。

KC4B1410.JPG

カソード抵抗の発熱が結構強力なので、カソード抵抗はシャーシの上に出してアルミの放熱版に取り付けました。
 あとは板金屋に頼んでいるパンチングメタルのカバーが上がってきたら完成です。NFBをオフにできるスイッチをつけて音を聴き比べてみようと思っています。
posted by dico at 03:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器制作関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月09日

300B PPアンプを作る(第4回)

KC4B1406.JPG

 300Bppアンプが組み上がってきて、回路の修正と調整をやってます。モノラルx2台なので1台だけ先行して作っています。最終回路はだいぶ最初の設計から変わりました。

300bpp_3.jpg

 最初の設計のままで組んで鳴らしてみたんですが、良い音してました。でも特性を計ってみると、NFB無しで10000Hzからじわじわ下がっていく感じで、高域が伸びていませんでした。
 これは三極管が構造上入力容量が大きいためで、元々高インピーダンスな真空管のグリッド回路に最初からコンデンサーがぶら下がっているようなものですから、6L6とかのような5極管にくらべると低インピーダンス駆動してやらないと高域が切れてしまいます。
この”良く言えば柔らかい音”を何とかするために、古くから諸処の先輩方はパワー管を前段に使ったりカソードフォロワドライブ回路にしたりしていたわけなのですが、でも今更音もじっくり聴かずに作り直しは嫌なので6SN7でやれる事をやってみようとの事で、6SN7の負荷抵抗をめいいっぱいまで小さくして電流を喰わせてみました。これでドライブ段の出力インピーダンスは下げられますがゲインも少なくなります。この回路の場合20kよりも小さくするとパワー管の300Bよりも先に6SN7がクリップしてしまいますので、その辺りで決めました。
 この辺は実機を稼働させて波形を見ながら抵抗をとっかえひっかえでやりました。
 あとは最初の設計では2段目のゲインの計算が間違っていて、ミュラード型回路は入力電圧が2管に直列に分け合う形でかかるので、ゲインを通常の半分で計算しなければいけないのを飛ばしていたために、全体のゲインとNFBの計算が間違ってました。
 この修正は、もう実機があるのでめんどくさいので計算はせずに、NFB回路はアンプのゲインが−6db(半分)になるようにVRを入れて決めました。

KC4B1407.JPG

 ミュラード型位相反転のPPバランスは、逆相側のプレート負荷22k、正相側が19kでだいたいのバランスが取れました。

 各部の電圧は実測値です。最大出力は約16.5w、NFBは約6dB、残留ハム(ノイズ)は入力接地で約0.6mvでした。周波数特性は、オシロで見る限りはNFBをかけて40〜30000Hzぐらいがフラットです。歪み率は計器がないので分かりませんが、波形もきれいですし、その他のデータからするとそんなに悪くない(はずです。)2段目の6SN7が微妙に300Bよりも先にクリップしています。

 でもまあうちで自分用に使うには十二分すぎる音がしていますので、早急に2台目も組み上げてしばらくはこの回路で鳴らしてみる事にします。

KC4B1406.JPG

posted by dico at 02:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。