2014年06月13日

300B PPアンプを作る(第3回)

 設計したアンプのゲイン設定の確認とNFB回路の検討です。

300bkairo2.jpg

300Bはこの回路のような普通の電圧ドライブでは振り切れないという事は物の本には良く書いてあります。製作例や製品の回路は、ドライブ回路にパワー管が使ってあったり、トランスドライブだったりする事が多いです。
 でもウエスタンエレクトリックのWE91Bでは、WE310Aという5極管で出力が結構ハイインピーダンスな普通の電圧ドライブの回路になっていますので、その事はひとまず気にせずに音を聴いてみる事にします。

300bpow.jpg

300Bのロードラインから、最大出力を計算します。
出力は最大振幅電圧x最大電流ですから、ロードラインの下側の三角形の面積ということになります。計算上は17.8wで、これから出力トランスでの損失分が差し引かれます。
NFBの計算のために16Ω端子での最大出力時の電圧も算出しておきます。2球合成での最大振幅電圧を、5KΩ:16Ωトランスの巻線比で割って、交流ですからその1/√2が出力電圧となります。

6sj7gain.jpg
初段6SJ7のゲインは約16倍、これはロードラインを読み取るだけで出ます。プレート振幅電圧をグリッド振幅電圧で割った値がゲインです。実際にはNFB回路分の120Ωがアースへバイパスされない分若干ゲインが落ちます。


6sn7gain.jpg
 2段目6SN7のゲインは約14倍、初段のゲインと掛けて入力の224倍の電圧が片側の300Bのグリッドにかかります。バイアスが-70vですから、これをめいいっぱい振るには入力で波高値0.31v、AC約0.21vとなります。

 NFBはとりあえずは6dbかけて聴いてみます。初段の回路では、NFBの戻し点の120Ωのカソード側は入力と同電位となりますので、ここに入力電圧0.21vの半分、0.105vが逆相で戻れば良い事になります。
16Ω端子からのNFB抵抗の値は、16.8/0.105 x 120/2=9600がおおよその値となり、10KΩとする事にします。上の回路図中の9.1Kは間違いです。

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2014年06月10日

300B PPアンプを作る(第2回)

 今日は電源部分の設計もやりました。
その前に、きのう設計した分の300Bのロードラインの引き方が間違っていたので修正しました。

300B_Roadline_2.jpg

 回路的にはそのままでOKなんですが、カソード抵抗1.2k、負荷5kPP,+B400v付近だと、グリッド−20v付近で片側の球がカットオフしますのでAB級動作という事になります。

 電源の設計ですが、これも全く凝らない方針です。電源トランスはノグチトランスのPMC170というもので、このクラスにしては安いです。B電源用巻線が350v−0−350vで、5AR4とチョークを通したあとで400vぐらいは出るかな?と見当をつけて、その辺で設計を進めます。
5AR4data.jpg

 5AR4の規格表だと、AC350v入力なら420vぐらいは出そうですが、それにトランスの巻線とチョークコイルの抵抗分が加わるので、実際は400v付近でしょう。その辺は今のところは適当にしておいても大丈夫です。そこからあとの設計は例によってオームの法則と電卓で全部出来ます。トランスの電流容量が余っているので初段の安定化のためにブリーダー電流を5mAだけ流しておく事にしました。ノグチのトランスは加熱が比較的激しいので容量めいいっぱいに使わないようにしました。

300BPP_SCHEMATIC.jpg

 とりあえず一通りの設計が完了です。これでまず1台仮組してみて、不具合な所を手直ししていきます。
DJミキサーの方は、使った12AX7をギターアンプでさんざんいじり倒してきたおかげで良く知っているので、こんなまじめに設計はやらずに、
見当で組んで音を聴いて、ばらして組み直してまた音を聴いて、、という感じで作ったんですが。
パワーアンプは一応壊れないような設計をしておかないと、見当でやってパーツが焼けてしまったら損害が大きいので、最低限これくらいの設計はしないと使うの怖いです。
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2014年06月09日

300B PPアンプを作る(第1回)

 僕の部屋で長らく使っていたパワーアンプ、作ってから15年ほども使ってたんですが、先日友達のJAZZ DJのあべちゃんのたっての希望で譲ってしまったので、今うちの部屋のアンプがまともなのがないんです。
 それで、新しいアンプを作ろうと。手持ちのタンゴの出力トランス(FW50−5)を使って300Bのプッシュプルアンプを作ります。


KC4B1321.JPG


 とりあえず電源トランスとチョークトランスを買いそろえて、シャーシを鉄工所で曲げてもらった所で、回路はどうしようかとあれこれ考えていたんですが、とにかく手持ちの球でまずたたき台としてオーソドックスなのを鳴らしてみようという事で今日は回路設計をしました。

 20代の頃に、当時出回り始めた中国製の300Bでいろいろやってた頃の球が今も残っているので、その中から6SN7と6SJ7を各1本づつ使って,なんとか300Bをドライブするアンプを組もうという感じです。
 最初は、キャノン送り出し用のバランスラインドライバーICのSSM2142で位相反転して、2段目を6V6で300Bを振って、半導体風味も加えてやればロックもタイトに聴けるか?とか考えていたんですが。でもそういう冒険は次回の後回しにして、とりあえずオーソドックスに鳴らしてみようという事で設計してまいました。
 6SN7と6SJ7を使ってどうやってラインレベルの1vぐらいの音声信号を300Bが必要とする約120vまで増幅するか?ってことなんですが、いわゆる”ムラード型”とよばれている回路の設計に初挑戦しました。プッシュプルアンプはアルテックアンプのPK分割や、PG帰還の反転ゼロゲインアンプで位相反転する”オートバランス型”の回路は作った事があったんですが。
 ”ムラード型”というのは名前の由来は知らないんですが、初段増幅に直結で差動アンプの位相反転をつなげた回路で、真空管アンプの製作例ではごくオーソドックスな回路形式です。

 まずは300Bの出力段からかかります。

300b_roadline.jpg

 300Bの規格表からA級プッシュプルの動作例を元に、特性図の上で動作線(ロードライン)を引いてみます。この線から各部分の電圧電流がきまり、回路の中の抵抗値を大まかに割り出す事ができます。購入したトランスが350v−0−350vのもので、整流管は5AR4でいこうと思ってるので、だいたい400v前後は出そうだという事で、電源供給が400v、バイアスが自己バイアスの70vでそれを差し引いて330vと見当をつけてロードラインを引きます。バイアスの−70vはウエスタンエレクトリックの規格表のA級PPの動作例から見当をつけました。
ロードラインが引けたらあとは、オームの法則と電卓で各部分の抵抗の値を算出できます。コンデンサーの値は、とりあえず可聴帯域を切らないように見当で決めます。

300Bout_schem.jpg

 だいたいこんな感じです。こんな事をやったのは前世紀以来です。でも今はネットとコンピューターがあるんで随分と楽です。以前は規格表からコピーで拡大して手書きでやってました。

 次は”ムラード型”回路の設計です。回路の形はもう昔から決まっているのでその通りとして、そこへ6SJ7と6SN7を当てはめて、各部分の部品の値を決める作業です。初段を5極管6SJ7の3結、2段目の位相反転が6SN7です。
初段と2段目が直結でコンデンサーがないので、初段の6SJ7のプレート電位が2段目のカソード電位よりも2段目のバイアス分低くなるようにして、直結でも2段目のバイアスが適正になるようにします。

 300Bdrive_schem.jpg

結果はこんな感じ、実際はいろいろとずれが生じるので,この通りびしっと動くわけではないですが、あとは実機を組んでから調整します。
 回路設計の本とにらめっこしながら、この回路定数を導きだすために引いた6SJ7、6SN7のロードラインです。

6SN7_roadline.jpg

6SJ7_schem.jpg

次はこの回路に所定の電圧を送り込むための電源の設計です。
posted by dico at 03:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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